アマプラに加入してから、銀河英雄伝説のアニメ「本伝」を見ている。円盤の入れ替えもなく、勝手に次の話に進んでくれる連ドラなどのシリーズものは、アマプラでは中毒性が高い。前半54話まで1週間くらいで見てしまった。引っ越し以来新しいテレビで、古いものばかり見ている。『オトナ帝国』状態。
通しで見るのは10年ぶりくらい、やはり今見ても面白い。というか見た目だけ綺麗な新シリーズは期待外れもいいところで……。
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今回は作中で持ち上げられる人物を疑い、ボロクソ描かれてる人物を擁護するといった批判的・懐疑的な見方をしているが、これもまた(架空)歴史物の正しい楽しみ方である。情報セキュリティがらみの(致命的な)ツッコミ以外にも、多々ある。
たとえばミッターマイヤーは同盟首都ハイネセン侵攻の際、恫喝のため「政府系の建物(原作5巻9章によると軍の統合作戦本部ビル)一つを破壊」したが、911テロを思うと軍人・公務員の相当な犠牲者を出しており、「民間人にはなるべく犠牲を出さない」とか優しいキャラぶってるが立派な残虐行為、虐殺ウォルフである。アーレ・ハイネセンの銅像を壊すとか、もっとやりようはあっただろ。
今冷静に見るとラインハルトのアムリッツァ会戦手前の焦土戦術(略奪&撤収)は非人道的な上、フォークの作戦以上に机上の空論である。主人公だから成功することが約束されているだけの茶番。実行するコストが無視されている。どうやって一度略奪し捨てた民衆の信用を回復したんだろうか。不名誉な指令&土地を捨てさせられた領主の不満は相当たまっているぞ。仮に元の領地に戻れたとして、立場がない。
全体的に作中でのやられ役の扱いはひどいが、特に帝国門閥貴族たちが無能・悪く描かれすぎており、偏向している。ヴェスターラントの件は、辺境・特に門閥貴族派の不満・不信を解消するためラインハルト陣営の陰謀だったのでは? 査問会の時にヤンたちがハイネセンの状況に疎いって、情報収集不足&ビュコックなど味方とのコミュニケーション不全、現代的には無能ではないか? マスコミ・報道がダメダメでもネットがあるはず。それとも「自由の国」なのに今の中国以上の検閲が? 仮に一般的なネットはそうでも、軍の専用線くらいあるだろ。そしてグリーンヒルよ、計画が杜撰すぎないか。フレデリカを有効に活用しもっとヤンを熱心に説得するなり、行動を封じるなりできただろ。頑張れ、救国軍事会議! 現代日本であったら私も参加したいぞ!
さて、今回私が特に注目したのは衛星兵器「アルテミスの首飾り」である。銀英伝に限らず、無人・自動兵器というのはフィクションでは『マクロス』のゴースト、『ガンダムW』のモビルドール(MD)のようにやられ役と相場が決まっている。本伝で首飾りは原作よりも出番が多く、カストロプ動乱でキルヒアイスのやられ役としても活躍(?)する。売りつけたのはフェザーンという演出もにくい。
アルテミスの首飾り(銀河英雄伝説) - アニヲタWiki(仮) - atwiki(アットウィキ)
改めて、私は首飾り大好き芸人となった。イゼルローンのような要塞までいくとコストがかかりすぎるし、大艦巨砲主義である。その点首飾りはスマートでカッコイイ。もっとやれたはずなのだが、作者という神による不遇はいかんともしがたい。この先ゲーム化などされたら、弱点のない「ネオ首飾り」爆誕に期待したい。
時代は無人・自動兵器である。ドローンや、武装も付けられるラジコン偵察機など。IT技術者目線だと、首飾りの開発がもっとも熱い。
リアルな宇宙戦争は、MDのような無人機や無人艦vs首飾りのような防衛システムによるものだろう。なーにが名将だ。キルヒアイスやヤンが取った子供騙しの戦術くらい、ソフトウェアアップデートで対応可能なはずだ。そもそも手動モードがあっていい。
私も大人になったというか、成熟した。英雄や天才という存在そのものに懐疑的になる。銀英伝はラノベとしてはとても面白いが、2021年ともなってはますますリアリティはない。それでも大学生くらいの時期に一度ハマっておくのは、人生にとって有意義である。20年もたってなお、こうして楽しく酒が飲めるのだから。
おまけ:
ウランフ&ヤン「甘いぞ、輸送艦隊を狙ってくることは読んでいた。ここで総力戦をし我々に勝たない限り、輸送艦隊に手出しはさせん」
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年9月23日
フォーク「これこそ高度な柔軟性というものです」
キルヒアイス「えっ」
ラインハルト&オーベルシュタイン「えっ」
ブラウンシュバイク&リッテンハイム「甘いな、我々二人はたしかに不仲といえば不仲だが、いざという時はちゃんと協力するし、メルカッツ提督の指示には従う。貴族をなめるな」
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年9月24日
キルヒアイス「えっ」
ラインハルト&オーベルシュタイン「えっ」
ヤン「氷の宇宙船、ハイネセンの故事に倣ってアルテミスの首飾りを」
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年9月24日
グリーンヒル「甘いな。たかが自動防空システムと侮ったか。首飾りの弱点はOSアップデートで既に改良済みだ。無生物に対して武器の無駄撃ちはしないし、突進するだけなら回避する」
ヤン「えっ」
キルヒアイス「えっ」
グリーンヒル「ゼッフル粒子を検知したら、後退してから砲撃する。お前らの浅知恵など最新首飾りには通用しない。そもそも最新なら自動と手動を切り替えることもできるから、数個艦隊に匹敵するという看板に偽りなしだ」
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年9月24日
ヤン「これは参った。逃げよう」
ヒルダ「ここからハイネセンまでは2日の距離、おそらく首都星といえども無防備な状態にあるでしょう。一気に同盟政府を降伏させ…」
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年9月27日
アイランズ「甘いわあ!たしかに艦艇はほぼないが、ネオ首飾りの威力、思い知れ!」
ロイエン&ミッター「グワーーッ」
おまけ2・ユリアンミンツ史観:
詳細は以下のツリー参照
銀英伝は新帝国とバーラト自治政府におもねった「演義」説、おもしれー。トリューニヒトやフォークのイメージは捏造です!今は亡きお菓子さんもいる/ユリアン・ミンツ史観 または私は如何に心配するのを止めて民主主義を愛するようになったか - Togetter https://t.co/ICR94SVATZ.
— ケープラ K++@壺を割る会 (@maoukpp) 2021年10月16日