うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

『コントが始まる』で気づいた、「ちょうどいい尺」問題

 新作の連ドラを久々に観た気がする。日テレ『コントが始まる』を完走したので、感想を書く。
www.ntv.co.jp
 1話を観た時、これは名作、神ドラマになるに違いないと思ったのだが…後半失速し結果的にそうはならなかった。良作ではある。しかし名作とまではいかない。メイン5人の演技は素晴らしいので、huluがあるなら是非観てほしいドラマではあるが。
 録画を見返してみると5話まではよかったが、その後間延び、失速した。普通10話が最終回だと「あと1,2話観たい」となるものだが全くそれがなかった。
 1話の冒頭で解散の話が出て、その後やっぱり続けるかという葛藤の中、5話の時点で「やっぱり解散する」と固まってしまい、そこからは撤退戦でしかない。中浜姉妹とマクベスが3話で宅飲みをし、早々に仲良くなってしまったのも全体の構成としてはまずかった。前半でほとんどの話をやり切ってしまい、後半に山場がなかったのだ。
 最終回も残念だった。9話で出てきた瞬太の「海外に行く」は「ああ、最終回のラストの1シーンを海外でという演出の都合ね」と冷めてしまった。瞬太の就職・進路を描かず、脚本として無責任。そして散々悩んだ末の春斗の就職先もお話としては綺麗だが、リアリティが売りのドラマなのに急に嘘っぽくなってしまった。

 ペース配分を間違えたというより、「最初から全6話でちょうどいい話だった」と気づく。結果、先生とファミレス店長がでしゃばりすぎで、メイン5人を支える脇役が足りなかった。芸人の話なのにライバルや距離の近い先輩後輩芸人が一人も出てこないし、里穂子以外の熱心なマクベスファンも出てこない。脇役同士をつなげて盛り上げる形もマネと中浜姉妹くらいで、とにかく話のネタが足りなかった。
 だが、民放の連ドラである以上6話完結なんて尺は標準では存在しない。無理やり1クール10話にしたため、薄くなってしまった。竜頭蛇尾とはこのこと。一方でこの話は映画一本には短すぎる。連ドラだからじっくり描くことができる人間関係がある。テレビドラマという都合上、「ちょうどいい尺がなかった」ことが『コントが始まる』の不幸だった。
 映画を観ていて「尺が足りない」と思うことはしょっちゅうあるが、逆のパターンもあるのだなと今回気づきがあった。商業的な都合があり、フィクション作りは難しいのである。