うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

飲み会はなぜ楽しいのか

 一応コロナ禍シリーズだが、脱線的エッセイ。「会食」は仕事のニュアンスが強いが、だいたい似た価値観を持つ者同士の飲み会は楽しい。インターネッツの論調とは真逆の結論になるが、話を進める。
 飲み会は楽しい。IT業界の場合基本的にオタクしかいないので、私は職場での飲み会も全く苦ではない。むしろ楽しい。毎月はちょっと多いが、隔月くらいでやるのが望ましい。もう1年以上やれていないのだが。


 陰キャもコミュ障も、本当は飲み会が好きなのである。ネットで飲み会嫌いが主流なのは「自分が下の立場で嫌な思いをする」、または「ものすごく嫌な先輩や上司の相手をするのが嫌」なだけであって、苦手な人間を排除したメンツなら好きなのだ。それすら嫌だとしても、4人くらいの気心の知れたメンツだけなら嫌じゃないはずだ。
 人間は社会的動物だ。よっぽどの人見知りや人間嫌いでなければ、飲み会は楽しい。
 しかし、よく考えたら不思議である。メンツの中にサシで飲みに行ったり、連絡先を交換しているような仲のいい人間がいなくても職場のサークルや飲み会は楽しいのである。つまり、大勢でワイワイすること自体が楽しいのだ。
 こんな当たり前のことは、逆に1年もの自粛がなければ気づけなかった。「『面倒くさいな』と思いながらも行けばそれなりに楽しい」、それが私の今までの飲み会の認識だった。

 シミュレーション系ゲームの戦闘で「包囲効果」というものがある。マス目の上で敵を囲むユニットが多いほど、攻撃力が上がったり有利になるというものだ。これに似た「人数による相乗効果、増幅効果」が飲み会にはある。
 8人くらいが上限・頭打ちにはなるだろうが、飲み会に限らず集団での会話には乗数効果、「1.2の人数の累乗」くらいの増幅効果がある気がする。サシで飲んでも1.44だが、8人だと1.2の8乗で4.23になる(四捨五入)。4人で2.07。これに各メンバーとの元々の親密度(仲のいい関係なら2.0を超える)が掛け算されていくので、完全に可もなく不可もない、好きでも嫌いでもない「1.0」の人間ばかりであったとしても前述の数字で飲み会は楽しい。親密であれば、さらに火力は上がっていく。
 つまり、公式化すると、

自分以外の各メンバーとの親密度(嫌いなら1未満)をそれぞれ掛け算 × 1.2n(n=自分含む人数、上限8) > 1.0 なら楽しい飲み会

 これを飲み会に限らず「集団乗数効果と言う。私が。もちろん飲み会の場で喧嘩になることはあるし、楽しさは保証されない。あくまで理論値である。嫌いな人間が多いと集団乗数効果をもってしても計算結果が1を割ってしまう。それが苦痛な飲み会の正体である(大嫌いな人間が一人いて0.1とすると、8人でも0.42)。計算結果がちょうど1の場合、不快ではないものの時間を無駄にしたことになり感想としては「つまらなかった」となるだろう。
 人数が多い方が人数の乗数効果は上がり理論上は楽しいが、その分嫌いな(親密度が低い)人間が混じってくるリスクがある。なので結局、4人くらいの飲み会が手堅くはある。

 なんとなく集団で「盛り上がる」楽しさというものを数値化、モデル化してみた。しかしこれは要注意でもある。一種のドーピングであり、本来の親密度を勘違いしてしまう可能性がある。飲み会で話せた異性を好きになってしまったり。なのであくまで、その場限りのものとして楽しむべきだろう。

 実際には、この1.2という数字も個人差があるだろう。オンライン飲み会がつまらないと言われるのはこの人数乗数効果が下がってしまうからで、その下がり具合も人によるだろう。やはりその場の空気・雰囲気の共有は大きくて、「会話の中身・情報」だけで楽しくないとオンライン飲みは辛い。