うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

萌え絵は一定層からは受け入れられないコードである(2019年現在)

表現の自由戦士さんと揉めた

togetter.com


 この件。そして関連した私のツイが炎上とまではいかないが、ボヤを起こした(FF以外の通知は切ったので今後応答はしない)。Twitterではおなじみの光景。萌え絵がそんなに好きじゃない30代男性として、今回は筆を取る。
 表現の自由戦士とは何か。
 今回の件でも同意できるかは別として、相手の言う事を全く理解しない狂信者たちだと言える。同意できるかは別として。同意できるかは別として。大事なことなので3回言いました。
 このツイの通りTwitterは議論に向かないし「説明しろ」という煽りに対してはどうせ徒労に終わるし「ggrks」で済ませたが、いざ自分がやってみると意外とムズかった。すまん。その一点だけは謝る。
 なぜならインターネット全体が男社会で、SEOもオタク寄りになっているからだ。Twitterはお察しとしてもググればもっとまともだろう、というのは甘かった。ここにも男女の非対称性が存在する。たとえば「萌え絵 気持ち悪い」で検索しても、「萌え絵叩きする人を叩く」記事が上がってくる。
 というわけで思ったよりは時間がかかったが、まあ小一時間調べれば普通にわかることなので、やはりググればなんとかなった。

本題・萌え絵の特徴と問題点

 2016年の記事だが、この頃からネットのオタクは「まるで成長していない……(AA略)」。
nomolk.hatenablog.com
 こちらも2016年、まさに今回言いたかったコードと炎上について。ツリーになっているので、全文はリンクをクリックして読んでほしい。

 作画の観点から。
yopinco.com
 こちらも作画。「萌え絵は赤ちゃんの頭蓋骨」というワードが印象に残る。
yamato-tsukasa.hatenablog.jp
 この記事と私の主張は同じ。
blog.c71.jp
 ブコメでもさんざん燃えたらしいので、これだけ丁寧に説明しても結局、発狂再生産でしかない。つまり、この記事もまったくの無駄の可能性が高い。どうか「まるで成長していない……(AA略)」にならないでほしい。

 改めて萌え絵について述べると、純粋な男向けコンテンツの閉じた世界なら好きにやってくれればいい。だがよく炎上するように広告、そして公共・教育といったステージに上がった時、そりゃ嫌悪する人からは抵抗されるよねっていうだけの話である。仮に「性的搾取」「環境型セクハラ」という主張が妥当でないとしても、一定層が嫌いなものは嫌い、キモいものはキモいのである。50年くらいして時代が変われば可能かもしれないが。
【2021.1追記】フェミニズム見地からの批判はこれが決定版だろう。どうも相手の主張を理解すらしていない人が本当に多いようなので、改めて追記しておく。
gendai.ismedia.jp

 絵柄の話ではないが、全年齢向けエロ=ソフトポルノという概念が根底であり、萌え絵がスタンダードと思っているオタクには全く理解されていないので過去記事を貼っておく。
maoukpp.hatenablog.jp

まとめと余談

 リンク集のような記事になったが、別に新しい意見もないので仕方がない。今回は完全にボランティアの気持ちで書いた。
 私からオタク(表現の自由戦士)に言いたいのは、常識レベルのリベラル的教養がなさすぎる。敵に勝つには敵を知れ。表現業界は言うに及ばず今や資本主義の論理でも圧倒的マジョリティのくせに、リベラルやフェミニズムを悪魔化して被害者ぶってるんじゃない。無責任なインターネットアンチフェミ野郎の狂信者やってるんじゃないよ。情けなくないのか。


 本当に肩身が狭かった90年代のオタクの主張なんて、「お気持ち」だったんだぞ。ちなみに90年代で時空が止まっている被害者思想を私は「(オタク)宮崎史観」と呼んでいる。今後使っていきたい。
 思ったより長くなったが、言いたいことは言った。あまり期待はしていないが、この記事が何かの気づきのきっかけになれば幸いである。

Twitterのすごいブロック術2019

 Twitterのブロックについては、以下の記事のような意見が主流です。たしかにブロックは相手を刺激するし、勝利宣言されるし、サブ垢を使えば意味がない。
oreno-yuigon.hatenablog.com
 が、しかし。去年あたりからブロックの仕様が変わりました。アルファツイッタラーなどは既に対応しており、最近はブロックを多用するようになっています。
appllio.com
 ブロックされた人は、した人のツイが

  • 検索で非表示になる(以前は設定を変えれば表示できた)
  • 三者のRT(記事には書かれていないがメンションも同様のよう)が流れなくなる

 概要はこの二つです。QTに関しては引用部分が非表示になりURLで誰かはわかってしまうものの、「相手の界隈に自分のツイがほぼ流れなくなる」という効果は大きい。
 以下のツイのように、Togeのクソまとめ主だけは以前から私も積極的にブロックしていました。


 で、最近新たに数人ブロックしたのですが、いくつか理由があります。まずはだいぶ長いヲチフォロー。INPUTとして意見の合わない人もフォローし、多様なTLを構築することはありますが、議論ですらない一言悪口QTなどを延々言ってくる相手には、相手のためにも自分へのフォローを切ってやったほうがいい。
 私は弱小垢である。普段のツイートはほぼ反応はない。ファボRTゼロにも関わらず、反応されるケースがあった。古いツイートならまだどこかに貼られたのかなとも思うが、最新のツイで。どうも特定のワードが含まれるツイだけ。つまり、その相手は検索して上に出てくる最新のツイに対して悪口QTをする、検索アタッカーだったのだ。
 まとめると、

  • Togeのクソまとめ主
  • ヲチフォロワー・リスト作成者
  • 検索アタッカー

 はブロックしていいんじゃないかと考えを変えました。敵対的な界隈に自分のツイートが流れることは、大量通報のリスクもあります。ちなみにブロックされていても、自分へのメンションだけは通報時に見ることができるようです。
 サブ垢に対してはたしかに無防備だが、最近はアカウント自体が作りづらくなっているのでそこも追い風。以前のように大量に無制限には作れないので、似たような垢が来たら2、3ブロックすれば完結する。

 これは私もたまにやるのでよくわかるのですが、「サブ垢ないしはログインせずに相手のツイのURLかスクショを取り、メイン垢でそれを貼る」のはけっこうな手間。そこまでのアンチはそうそういない(よほど個人間の因縁がなければ、似たような相手へ怒りが行く)ので、ガンガンブロックしていいでしょう。

 ただ、Twitterの仕様はコロコロ変わるのでまたいつどうなるかわからず信用できない。
 という点は忘れずにおきたい。実はこれこそツイッターライフの基本だったりする。

ネット論客の床屋政談より、新書でいいから本を読もう


 言いたいことはこのツリーでほぼ終わっているが、20年くらい前の知識で止まってるしょうもないネット論客の発言をありがたがってないでさあ。
 まずは高校レベルの教科書から勉強しようよ。マイナーな分野ならいきなり専門書だが新書なら安いし、専門誌、あるいは特集組んだ雑誌でもいい。ブックオフなら100円だし、さらに言えば買わなくても図書館で読めるよね。
 たしかにトンデモ本もあるし、ネット論客が出版までしてしまうご時世だから、本なら正しいってわけでもない。そしてこの文章もブログだけどさ。。
 それでも「学者はバカ」とかよく知りもしないまま怨念振りまいてないで、まずは有名どころの著者の本を読んでみようよ。すべてはそれから。
 こういうのを「反知性主義」って言うんだよ。なんでこうなったんだろうね。ネットが悪いのか、いや、たぶん易きに付く人間の性なんだろう。このままだと「マトリックス」の世界のように人間はコンピュータに敗北し、家畜になる運命なのかもしれない。

それでも僕は泣き寝入りする-君はシングルマザーの恋人のために400万援助できるか

inotoru.blog.fc2.com
 一般論としては猪野さんの言うことは全く正しい。さすが、ろくなのがいないTwitter弁護士(=法クラ)の中にあって、私の中で「抱かれたい弁護士ランキング」首位なだけのことはある。
 ただ、私の個人的な感情は別にある。この騒動、他人事だと思ってたが、よく考えたら30代独身男性としてはわりと近いところにあった。
 なぜなら、同年代の女性と付き合うとなったら中高生の子供がいる可能性もあり、その場合学費の話は出てくるからだ。
「元カノのために一括で400万出せるか」となるとだいぶハードルは上がるが、そうではない。年払いの学費であれば、一括で400万ということはない。積み重ね、数年間で400万なわけで、その間は義理の息子のようなものだっただろう。実際、当事者の彼も「今でも感謝している」とニュース記事の中でコメントしていた。
 当事者の女性(母親)は詐欺師とか援助交際などと報道で言われているが、あまりにひどい。詐欺というのは、子供がいないのに嘘をついて学費を取ったりすることを言うのだ。使途に嘘はない、純粋な援助だ。奨学金のブラックさも最近問題になっている。仮に奨学金が利用できても、若者に借金を背負わせて社会に出すのは可哀想だ。
 この件、非モテゆえにさらに身近になってしまう部分がある。フラれるのはキツいし、騙されたという気分になるのもわかる。400万はたしかにキツい。だが私は、猪野さんの記事にも引用されていた小林よしのりさんの意見に近い。
 今はもう縁もゆかりもない存在になってしまったが、一人の若者を世に出したのだ。それもしょうもないFラン大学ではなく、一流大学。胸を張っていい。いい意味で、「ワシが育てた」と言える関係性だ。
f:id:maoukpp:20190129200515p:plain
 ツイートは冗談っぽく書いたが、結論は同じ。それでも僕は、泣き寝入りする。もちろん懐事情にもよるが、男たるもの、そうあるべきだ。くだらんマッチョイズムという自覚はあるが、そう思っている。

アジャイル開発は「性強説」、面白さと恐ろしさが同居するリスキーなやり方

前提と引用記事たち

 IT技術者として2018年はほぼ丸一年、(同じ現場で)アジャイル開発@スクラムをやってきた。今回の記事は完全に技術者向けで一から説明はしないので、まずは基礎知識。
スクラム (ソフトウェア開発) - Wikipedia

 その他、今まで読んだINPUT資料を。この記事を書くにあたって本も読もうと思ったのだが、現状翻訳本かつアジャイルは素晴らしい!」しか書いてない本が多くて買う気なくした。2019年は、日本のSE現場経験者によるアジャイル本がもっと出てきてほしい。
mendix.buildsystem.jpfrontline.fmotihateten.hatenablog.comqiita.com
アジャイルのエヴァンジェリストが見落としてる点(3) | MechaAG


qiita.com


 肯定派・否定派混じった悲喜こもごも。今回私もやや否定的な記事だが、中立派である。
 私は1次請けではなく、使われる側の立場である。「受託・ユーザー企業共に上層部が何を考えているかまでは見えていない」ことははじめに断っておく。あくまでいちメンバーとしての体験記である。
 プロジェクトの概要・状況は以下。

  • 既存画面入力システムの置き換え。完全新規の画面がメイン
  • 人材は寄せ集めのSI的受託プロジェクトで、100人近い大規模(最初は小規模だった)
  • 私はプロジェクトの最初から参加
  • 1チーム8人前後のスクラム形式で、受託企業のリーダーがSM(スクラムマスター)、ユーザーIT部門担当がPO(プロダクトオーナー)
  • 最初は1スプリント=1ヶ月。途中から1スプリント=2週間

プロジェクト開始

 初期に集められた人材は「業務・アジャイル未経験可、数年以上の経験者」だった。業務・アジャイル経験者と未経験者は半々くらい。最初の1カ月はほぼ慣れるための研修のようなもので、じっくりと慣れてもらい、チームの結束を深め生産性を上げていくという意図だったと思う。アジャイル講師による勉強会などもあった。
「意識を変えてくれ、今までのやり方は通用しない」
 アジャイルの本によく書いてあるような台詞の、無言の圧力があった。我々は戸惑いながらも、徐々に慣れていった。ふりかえりミーティングでは意見も出しやすくチーム仲も悪くないし、個人・所属チーム単位で見ればプロジェクトは順調に見えた。

ウォーターフォール的増員がなされるアジャイル

 なぜ発注側=ユーザーがアジャイル開発を導入するのか。それは「流行りだから」などというミーハーな理由ではなく「開発費がトータルで安く済む」「仕様変更がしやすい」からだろう。
 さて、我らのプロジェクトは最初は少ないチームだったのがどんどん増えていった。これは詳細設計以降を増員してやっつけるという、従来型のやり方を踏襲しているように見えた。現在は10チームくらいに膨れ上がり、正直全容を把握できない。マスタスケジュール(スケジュール管理については最後に紹介した記事に詳しい)が押している都合もあろうが、これがアジャイル? いいのか? とツッコミたくなる。
 仕事というのは仕事算のように、100人でやれば一瞬で終わるというものではない。こう大規模になると余計にスクラムマスターの上にいる、従来型で言うPM・統括の人が重要になってくる。が、あまり機能しているように見えない。単なる私の杞憂、勘違いであればいいのだが。現在は統括やチーム間連携が最重要課題となっている。

残業はないが、キツい=休みが取りづらく暇がない

 日々の短いミーティング(デイリースクラム)やることを決め、1時間でも手が空いたらすぐ動くというのがアジャイルの流儀。ゲームで言うと、完全に「素早さ重視」の仕様なのがアジャイル(まさにagileという英単語の通りではある)。
 このプロジェクトは超絶ホワイトだしアジャイルにもだんだん慣れていったが、それでも小刻みなスプリント単位でやることが決まっていると心理的に休みを取りづらい(個々人の事前申請休日を加味して見積もり、割り振りをする体制ではあるが)。何より、日々のタスクをこなす中で暇がない。
 決して「サボる」という意味ではなく、技術者にとって「暇な時間」は必要でもあるなと。自分の担当外のソースや仕様書を見たり、他チームの様子を伺ったりすることで既存バグを見つけたり生産性が上がることもあるからだ。
「飲みニケーション」は古いと言われるが、日本人の場合「ふりかえり」では出てこない本音もたしかにある。アジャイルの1チームは、基本2テーブルに収まるので飲みに向いている。少人数なら全員と話せるし、盛り上がる。ここに日本型アジャイルのヒントがあるかも。プロジェクトの予算で全額でないにしても金を出し、チーム単位で飲みに行かせるべきである(タダで飲みたいわけでは決してない)。

広がるチーム間格差と不和

 最初は各チームはそれぞれ担当領域が分かれていたのだが、徐々に案件単位で分かれ、全領域をやるようになった。すると、できの悪いチームの品質に直面し、尻拭いをすることが増えてくる。これで一気にチーム間が不仲となった。後発のチームは不利な部分はあったと思うが、3ヶ月半年しても進歩がなくそれにしてもひどい。
 よく言われているのが冒頭に引用した記事にもある通り、アジャイルはエリート集団を前提にしている性強説」ということ。
「無駄なドキュメントを作らない」が通用するのも、阿吽の呼吸というか「当たり前」のレベルが高いから。相互にレビューしたり、ふりかえりミーティングで意見を出し合って成長できるのも対等な関係があればこそ。ガチガチの体育会系だと上の人間がシバキ上げるだけだし、ただの無能集団だと馴れ合って終わりである。

 旧来のウォーターフォールにも問題は多い(長くなるのでここでは触れないが)し、アジャイルの良さはたしかにある。私はこの案件を聞いた時、勉強できる・面白そうだと思った。経営目線というかプロジェクト管理を自分でも色々考えるようになったし、何より1年かけてようやくブログが書ける。
 ただ、日本の大企業でアジャイルがうまくいった例はあまりないそうで、やはり小規模開発か超一流軍団でないと難しいというのが私の現時点での結論。
 本場アメリカは日本と違ってIT技術者がエリート職だが、中でもマイクロソフトやアマゾンなどのアジャイル開発はサッカーで言うブラジル代表のようなもの。個々の能力が高く全員がどのポジションもできるし、監督がうるさく指導する必要もない。それが日本代表の「自分たちのサッカー(笑)」ではアジャイルは不可能なのである(これはあくまで比喩であり、日本のTOP技術者11人のチームなら当然可能)。

アジャイルの恐ろしさは「チーム全員の能力が高い」という属人性。課題はPO

 チーム内で担当を固定せず(スプリント・タスク単位で入れ替え)属人化をさせないのがアジャイルだが、結果的にチームメンバーの力量、そしてチーム環境に大きく依存するのもアジャイル。別の意味での属人性が存在する。
 もちろん本当にダメな人は契約を切られるのがIT技術者の世界だが、それでも技術力に差があるので多少は助け合いというか、ならしやすいのが従来型ウォーターフォールというか縦割りチーム。同じ会社の先輩が後輩・若手の面倒を見るという日本企業の文化もあるが、良くも悪くもそれが機能しづらい(もちろん縦割りでもチーム間で会社が違うと、質問一つやり取りするのもエクセルベースで時間がかかってたりして最悪なのだが)。
 サッカーチームに1人だけブラジル代表がいても弱いのと同じで、意識の高い人が1人いてもチームはよくならない。うまく回ればたしかに生産性は指数関数的に上がるが、逆に通常ならn倍にはなるところが1.n倍にしかならない危険も。受託=開発側はもちろん、発注側もこれらのリスクをきちんと認識する必要がある。

 チーム内のPO(プロダクトオーナー)にしてもそうで、ほぼ完璧に技術も業務もわかっている人がやる前提なのだろう(というか内製の場合、そもそも同じ会社の人間)。本来は。でも日本の現実はそうじゃなく、「お客さん」の位置付けであり同じチーム感が全くない。結果、チームとのコミュニケーションにも齟齬が発生することもあった。開発初期の段階でPOは「え、今いるそれ?」といった画面の細かいことばかりツッコミがち(プロダクトバックログではなくすぐやれという)で、それが結果的に非効率につながっていた。
 POが教科書通りに機能しづらい。これが日本のアジャイルの最大の弱点であろう。PO個人はもちろん、ユーザー側企業の上層部までアジャイルを理解しているかどうかが問われる。POは製品の責任者、顧客側の人間だが顧客のトンチンカンな要求は跳ね除けなければいけない。だが、上意下達の大企業サラリーマンにそれができるか。
 会社全体がガチガチのウォーターフォール的なのに、プロジェクトだけアジャイルって矛盾していませんか? 構造的・人材的な問題から日本でアジャイルが定着するまで、あと10年はかかるだろう。
 

それでも、まだ失敗はしていない

 結局のところ、ITに限らず仕事は「やり方を変えただけではうまくいかない」という至極当たり前のまとめになる。ニュアンスは変わるが、ユーザー企業との信頼関係が第一なのも同じ。アジャイルの場合、単純な能力の高低以外の適性もある。
 ただIT技術者のスキルの一つとして、経験しておくのはいいことだと思う。将来的にはアジャイル寄りのやり方が主流になる可能性はあるし。教科書的なアジャイルは日本では正直厳しいが、ガラパゴスでけっこう。日本向けのアジャイルはきっとある。
 このプロジェクトについては従来型の方がよかったのか、まだ答えは出ていない。正式リリースはまだ先だが、アジャイルなのだから予定通りリリースはされるだろう。問題は品質だ。
 とはいえ、まだ失敗だったというわけではない。また続編を書けるタイミングになったら、筆を取ろうと思う…このブログが身バレして怒られたりしない限りは。 

少年ジャンプ編集部のジェンダー観が終わっている件

 性的表現の世間への影響と言えば、「ハレンチ学園」のスカートめくりが有名。
jin115.com
スカートめくり - Wikipedia
 別にセクハラや性犯罪のすべてが漫画のせいなどと言うつもりはないし、今、過去の作品を断罪する気もない。広義の男尊女卑、具体的にはセクハラ文化という世相があり、それが通る時代だった。
 時代は変わった。昔のままでいいわけがない。少年漫画などの「全年齢向けエロ」表現は女性蔑視の拡大再生産の役割を果たしており、その影響力は軽視できない。今の子供の教育うんぬんより、既得権益を守ろうとするオタクたちこそが、これらの悪影響を受けまくった成果物と言っていい。
jumpmatome2ch.net
 これはあまりにも悪ノリがひどいし、無用のヘイトを集めているだけで商売上も無益である。少年ジャンプ編集部は90年代で時空が止まっているのではないか。連載作品云々よりも、2017年の女子トイレマーク事件にしろ、場外で炎上している。まずは作品・漫画家よりも、この編集者たちを批判したい。
maoukpp.hatenablog.jp
 お笑いの世界は、徐々にではあるが変わってきている。テレビなどは大勢が関わるし、世代交代も起こるからだろう。出版社は社員は少ないし、一つの雑誌の編集はせいぜい20人くらいの集団でしかないからサークルのようなノリでやっているのだろう。社会的影響力の強いマスメディアの人間として、あまりに無自覚。
 新聞・テレビなど報道系メディアのヤバさはネットでもよく叩かれるが、ライター、作家デビューしたいという下心がある人間が多いため出版社など表現系メディアはあまり叩かれない傾向にある。この風潮は本当にダサい。
 少年誌・青年誌という区分けは「作風がダークか、大人向けか」で分けられているだけで、性的表現はほぼ考慮されていない。要するにゾーニングが機能していないのでまずここを見直す必要がある。そして編集長一人の責任にしないためコンプラの部署を作り、社内監査もやったほうがいい。

 今回直接の炎上は展示イベントだが、連載作品という土台があってこそ。
maoukpp.hatenablog.jp
 この記事の続きでもある。以前は「表紙でゾーニングを」と主張したが、今回は内容にも踏み込む。
 フェミニズムというか性的問題は、ネット特にTwiterでは上澄みだけをすくった「論破厨」のための議論になりがち。いや、そもそも議論ではないのだ。あるべき理想社会を語っているだけで、論破するしないの話ではない。法的・歴史的根拠を持ち出すこともできるが、所詮は価値観の違い、論破厨の言う「お気持ち」である。


 今回の件ではこのツイに反応が多かった。「許されない」というワードが刺さったのだろう。もちろんこれは社会通念上という意味であり、法制度的にどうこうではない。
 一番多かったのは「許すかどうかお前が決めるな」「お気持ち」という反応。これについては「オタクのお気持ちなぞ知らん」で終了。「お気持ち論法」は、すべて自分に返ってくる。

反応1:「ゆらぎ荘は熾烈な読者アンケートで生き残った作品!」

 何もかもズレている。そんな話はしていないし、今回怒っている人たちはアンケートとは無縁である。

反応2:「エロい少女漫画もある!」

 比較にならない。単純に部数だけでも「りぼん」の例で言えば90年代の全盛期は100万部超えだがジャンプは600万超え、近年は1桁違う。さらに、逆ハーレムやBLなど対男性性消費型でなければ対抗馬として成立しない。女性がBLなどの影響で男性にセクハラする例はきわめて稀。
 もちろんゾーニングの観点から言えば、女性向け男体エロも同様に規制すべきだと考える。ただし、まずは影響力のでかいところから、そして社会のマジョリティを占める強者(男性)側から行うべきだ。
 この反応2の混ぜ返しは「女性専用車両男性差別だ!」という屁理屈に似ている。実際法的根拠はないし、鉄道会社のルールでしかない。一見すると正しいが、社会状況を総合的に判断すればそうではない。痴漢被害があまりにも多い=女性の人権侵害がひどいからこうなっているし、世間の理解も得られている。だから表現も、法的規制は慎重にならねばならない。

反応3:「ジャンプは昔からエロかった」

 ツイで書いた通りだが、昔からあったんだからセクハラやパワハラが許されるという道理はない。オタクは老害そのものの主張をしている自覚があるのか。
 むろん男向けのエロい作品はあっていいが、既に書いたように漫画界における少年誌というメインストリームに堂々と載っていることが問題なのだ。


 さて、最後に余談。漫画に限らず性的表現がなくても、男性作家による女性蔑視が表現に出てしまうことは往往にしてある(それが原因で創作物が楽しめなくなってしまう女性もいる)。どうしても女性キャラクターを物のように扱ってしまうのだ。そこに人格はなく、作中の男性キャラ・男性読者にとって都合のいい記号でしかない。
 長期連載で絵柄が変わることは珍しくないが、このような「モデルチェンジ」まで起きてしまう。
oreno-yuigon.hatenablog.com
 ワンピースという大メジャー作品でさえこうなのだから「表現の男社会」は深刻である。作家も編集者も、変わらねばならない。

キャリアについて考えてみる—ジョブ型雇用は万人に向くか

ten-navi.com
 おそらく今年一番、深々と刺さったので、この記事をベースにキャリアについて考えてみます。この記事は典型的なメンバーシップ型雇用の悲劇というべきで、なんとかならないのだろうかと慨嘆する。
 ただでさえ、総務の仕事って大変である…間接部門とバカにされ社内はもちろん世間の評価が低すぎるし、合コンでもウケないというかモテの要素がない。だいたいテレビドラマの登場人物の職種ってほぼ営業か、企画・商品開発などのわかりやすい花形ばかり。
 私はこれでも総務出身である。新卒で入った社会人としての最初のキャリアは総務であった(後でまた触れる)。
 で、最近よく言われているのはこれ。nomad-journal.jp
 わたくしのような(自社製品開発でない)常駐型IT技術者は、(正社員・フリー関係なく)事実上既にジョブ型雇用なんです。基本的にプロジェクトが終われば解散、同じ現場にずっといても給料=単価が上がることはないので、長くても1、2年で(たとえ客先から評価が良くても)自分から抜けるという慣習。
 特に総合商社のような巨大企業が典型的だが、日本では文系は総合職という名のなんでも屋で採用され、「キャリアを天に任せる」雇用が一般的。実際には天ではなく入社前から育成方針が決まっていたり、直属の上司や人事部の評価だったりする。
 だからコミュ力重視のポテンシャル採用なんて言われ方もしていた。「目指すキャリア・やりたいことが特にないが、ポテンシャルはある一流大学の学生」にとってはこちらの方が実はよかったりする。ファッションに自信がないから、奥さんや恋人にすべて服を選んでもらう感じで。
 ただこれ、矛盾している。カツセさんの例をみてもわかるが、今時のシューカツはキャリア像を述べさせるのである。「嘘でもいいからちゃんと入社後のストーリーを作っておけ」はシューカツマニュアルの基本。そこで流暢に喋れないと内定がもらえないのに、実際希望が通る人は一握り。
 総務に希望する人なんてほぼいないので、不人気の部署は強制的に人があてがわれることになる。組織人にとって業務命令は絶対で、拒否できない。抜ける自由はあるし、命まで取られることはないが企業というのは本質的に専制国家である。配属でそれを思い知る人は多い。
 内定後や入社直後に不本意な配属先を告げると辞めてしまうから、わざと1ヶ月以上の新人研修を終えてから配属先を発表する。研修中の評価を考慮するというが、これもほぼ茶番。シューカツの茶番は、実はその後の配属というステージまで続く。辛島美登里さんも歌っていたように、「シューカツっていうルールはとても難しいゲームね」なのである(歌ってない)。

 文系のシューカツについて、人は3つのタイプに大別できる。

  1. 敗者・落ちこぼれ
  2. 勝者だったが、その後不幸になる人
  3. 勝者で、結果的にキャリアに目覚める人

 私は入試の得意・好き科目や大学で学びたいことは文系だったが、シューカツに関しては完全に理系人間であった。つまり1. に該当。氷河期世代はもちろん、ネットにはよくいるタイプでアスペ・発達障害の傾向がある。
 カツセさんは2. のタイプ。これも非常に多いと思うし、元々優秀な人間なので声がでかい。「日本の新卒採用は間違ってる、けしからん!」となる。そういえば「エイジハラスメント」の武井咲さんも総合商社で総務に配属されてたっけ…。
 あまり表に出てこないのが3. のタイプ。いや、実はこれ、合同系含むシューカツイベントで登壇する若手社員が皆言っていたことだった。
「特にやりたいことはなかったが、やっていくうちに今の仕事に目覚めた」と。日本の大企業が最もほしい人材は、これ。学生だった私も、そういうものかと思っていた。今思えば実に愚かだったが、当時は今よりもずっと保守的でホリエモンに影響されてるような人間が大嫌いだったし、ジョブ型雇用なんてワードもメジャーではなかったし致し方ない。
 ちなみにカツセさんと私の違いは、辞めるまでの期間。5年だったカツセさんにくらべ、私は1年弱である。これはおそらく就職した企業のランクが関係している。私も別に総務の仕事が嫌で辞めたわけではない(総合職としてはどうみても営業よりは総務向きなので、人事部の評価は正しい)。総務にいたからこそ、会社の体質が終わっていることがよくわかったのである(実際私が辞めて数年後、潰れはしなかったが合併された)。

 今だから言える。学生がシューカツで最初にすべきことはいわゆる自己分析などでなく、日本型大企業のメンバーシップ雇用に向いているのか、ジョブ型雇用に向いているのかの適性を見極めること。後者だとわかったら、自分に向く職種を見つける。あとはサヴァイヴするためのスキルをつければいい。
 最後に余談。


 基本的にこのツイの通りの感想だが、こういう人が表に出てきているのはいいことではあるなと。ただこの手の人たち、シューカツにも通りそうなハイスペ君ばかりなのであまり参考にはならない。もっとアスペ全開な人に出てきてほしい。
 あえて嫌いなフレーズで締めるが、ドキドキしよう。そしてサヴァイヴしようぜ。