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池江璃花子最悪のプロパガンダ、翼賛報道は民主政治の危機

 元々、オリンピック反対派(以下「反オリ」)はIOC組織委員会の体質、政権との関係性、膨らみ続ける予算、電通やスポンサー企業・メディアの利権、ボランティア大量動員・搾取といった運営面を批判していた。概ね正しいと思いながらも、コロナ禍でなければ正直私もそこまで乗り切れなかった。
 森喜朗の辞任劇で、彼だけでない組織委員会前近代的体質も明らかになった。開会式の演出問題もあった。ネットは元々スポーツ嫌いが多かったが、今や世間も否定的になっている。

 7日夜の記者会見で、菅首相は「アスリートに優先的にワクチン摂取する」と明言した。看護師500人動員、選手用病床確保という話もあり、まさにこれは五輪アスリートを「上級国民」待遇にすると宣言したようなものだ。
上級国民 - Wikipedia
 すなわち、最近では山田真貴子内閣広報官の例があったが、与党国会議員や閣僚クラスになると、いつでもいい病院に即入院できる。大物芸能人もそう。
 元々、五輪アスリートにもそのような忖度はあっただろう。平時であれば、表には出ないしそれでも良かったのだ。今回は政府が宣言してしまった点が本当にやばい。「アスリートファースト」という言葉は元々別の意味だったが、すっかり特権階級という意味になってしまった。文化を抑圧し、スポーツだけは優遇することでアスリートヘイトは確実に溜まっている。

 8日の朝、TLを見たら変なことになっていた。「池江璃花子叩き叩き」で埋まっていたのだ。7日の会見での政権批判をかわし、特に「反オリ」を黙らせるための露骨な工作だった。
【兄が電通】池江ツイート、全文投稿前に新聞社が記事化 プロパガンダ確定か?
 池江選手のツイートを受けて、音速で各メディアが記事にしている。テレビも新聞もスポーツを扱う部署がある。最近は大谷翔平の話題で持ちきりである。彼らにとって、いくら政治ニュースで批判しようと、会社全体としては結局オリンピックはやってほしいという本音がよくわかる。

 池江選手の発言は一見「素朴なアスリート」という印象で騙されやすいが、「自分には責任がない」「(開催も中止も)お上に従う」としか言っていない。政権や大会運営、医療体制には一切触れず、あえて内容のないメッセージにしているのだろう。内容がないので、逆にストレートに批判できない狡猾さがある。下手に憶測・邪推で言及すると誹謗中傷になってしまうという罠がある。なので、「逃げ」の姿勢こそを批判すべきだろう。
 家族や友人に愚痴をこぼすのならともかく、このタイミングで公開でこんな発言をする意味は明確だ。
 以下を見ると、戦時中の翼賛報道そっくりである。
池江のニュース記事一覧 - ライブドアニュース
 選手本人に「辞退しろ」とクソリプを投げた者はいたかもしれない。しかしそんなのはごく一部だろうし、少なくとも反オリの総意ではない。それを利用し被害者化&セレクティブ・エネミー。典型的プロパガンダだ。今回の池江選手の発言は、天皇に「お気持ち」を言わせるくらいの効果がある。いや、若い世代にはそれ以上だろう。

 自身の所属が100%電通子会社、兄が電通勤務という時点で以前から噂はあったが、今回で確定した。池江璃花子は、最悪のプロパガンダ女王に闇堕ちした。「池江選手は利用されているだけだ」という声も聞く。しかし、今回の発言のタイミングは明らかにおかしい。仮に電通から依頼を受けてのものだとしても、同情の余地はない。自分の立場をよくわかった上での「仕事」だ。
 こういう声が現役アスリートから出てこないのは残念である。
hochi.news
 いつもなら何も考えずによかったオリンピックで、今回だけアスリートに政治的知見が要求されるのは受難ではある。だが元々世界大戦が起きればオリンピックなどできないし、時間がたてば大会は「天から降ってくるもの」という認識が間違っている。
 政府も池江選手も、正直な本音で勝負してほしい。「身分が違うお前らがガタガタ抜かすな」「医療リソースが減り、結果的に死者が出ても知らん」と。

 これらの指摘も鋭い。プロの仕事感がすごい。