うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

カラオケ・おぼえていますか

 一般人の、人付き合いとしての「カラオケ文化」が消えつつある。元々ここ10年くらいは世の中的に職場の飲み会で二次会が減少、宴会文化が廃れつつあった。さらにコロナ禍で、大企業では飲み会自体が禁止されて1年以上になる。大々的に「オフ会」などもやりづらくなってしまった。
 大人だけではない。コロナ世代の大学生特に1,2年生は一度も仲間とカラオケに行けてないだろう。大学生なんて一番カラオケ行くタイミングなのに。コロナ世代の大学生はカラオケに行く機会が奪われたまま青春を終えるので、将来の需要も減る。これはボイトレ業界にも影響するだろう。そしてこの先、カラオケ好きは高齢者ばかりとなる。
 ボイトレ記事・動画によくある「カラオケでモテる」という発想がもう古いのだ。カラオケに行ける時点でもうモテているというか、元から仲のいい相手としか行かないんだから。

 サンプル数は少ないが、アンケートを取ってみた。

 私のフォロワーは音楽好きがわりといるので、予想通り見事な二極化。ヒトカラーや音楽好きは行くが、私もヒトカラ以外で最後に行ったのいつだろうと思ったら1年以上前だった。本当にカラオケの機会が減っている。

 カラオケが減っているのは音楽事情にも原因がある。最近のカラオケランキングにも、しっかり新曲が入っているよという記事。
enjoysing.com
 この記事では月間と年間との比較だが、大筋で同じだった。参考までにDAMJOYSOUNDの2020年間ランキングを貼っておく。
カラオケランキング(DAM・総合・年間)|カラオケ曲検索のDAM CHANNEL
2020年JOYSOUNDカラオケ年間ランキング|JOYSOUND.com

 だがこれが、多くの人が親しみやすい楽曲かと言えば違う。2020年3月のものまね特番で、みちょぱ「一般人の髭男はひどい」と言っていたがこれは今時のカラオケあるあるだろう。歌えるわけがないのだ。そこら辺の男が髭男やKing Gnuなんて(むしろ女性向き)。2019年の紅白が象徴的だったが、音楽とは聴くものになり、歌うものではなくなってしまった。普通の男が歌えるヒット曲がない。キーが高いだけでなく、楽曲がどんどん高度に、難しくなっている。歌える人であっても、1曲練習して覚えるコストが相当高い。
 カラオケはそもそも二次利用だから、音楽業界に不満を言ってもしょうがない。時代の流れなので、受け入れるしかない。新曲という主力コンテンツが逆風なのはまずい状況だが。

 歌える曲がない人のことを「カラオケ難民」と呼んでいるが、ますます増えるだろう。対策として、ランキング入りするような新曲はもう、諦めよう。幸い、カラオケ楽曲は膨大なアーカイブがあり、新曲ばかりがカラオケではない。
 カラオケ端末では今でも様々な、たとえば「90年代」などの楽曲特集があるが、もっと「発掘」しやすく、さらに課題として「知らない曲をイチからカラオケ店で聴いて覚える」ための工夫が必要だ(現状だとガイドメロディ、ガイドボーカル入りの音源を流すしかない)。

 コロナ報道によるリンチに遭い、カラオケ業界は苦境にある。この記事によると2020年のカラオケ市場は半減したそうだ。今年もGWの休業があり、似たような業績になるだろう。【6月追記】ズルズルと延期し結局丸2ヶ月休業。業績悪化は計り知れない。
prtimes.jp
 最近のカラオケ店は「歌わないカラオケ」需要へシフトしていて、会議室、テレワーク、DVD鑑賞など「個室の飲食店」として頑張っている。この辺はランキング記事のカラオケ評論家が詳しいので深入りはしないが。

 まとめると今カラオケは音楽事情、宴会事情、そしてコロナにより一般人が遠のいてしまい、危機的状況にある。「誰でも歌える曲を、大勢で歌って楽しむ」ことを人類は忘れてしまいつつある。覚えていますか、歌の楽しさを。最後に歌ったのはいつですか。何を歌いましたか。
 この記事のタイトルは言うまでもなくあの曲のパクリだが、楽曲でもテキストでもなんでも、そういう仕掛けが必要な時期だと思う。カラオケメーカーはオーディションや大会ばかりやっている場合ではない。ガチ勢・歌うまは放っておけ、大衆・一般人をなんとかして呼び戻すんだ。
 コロナが終わっても、なんとなく感染症が怖いイメージは残ってしまうだろう。カラオケ業界の深傷が癒えるのはいつになるか。メンタルを病みやすいこの状況こそカラオケが有効、ヒトカラなら感染リスクも低いのでおすすめである。未経験の人はデビューしよう。