うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

「自分たち」以外の他者が見えない人たち、見えてて無視する人たち

 あまり気は進まないが、緊急避妊薬(アフターピル)が定期的に話題になるので記事にまとめておく。
note.com
 この記事(以下、「小山記事」)が話題になっていた。
 タイトルにもなっている三つ目の論点は確かにアホで取るに足らない(もちろん有料部分は読んでいない、読む価値もない)が、これに限らず慎重論を言うと解禁派はすぐ発狂して「女性の抑圧者」とか言い出すし、「医者は診療報酬がほしいだけ、既得権益だ!」とか陰謀論を主張する。全く「自分たち」以外の女性が見えてないのだ。これはフェミニズム全体の欠陥でもあるが、今回は深掘りしない。
 小山記事で引用されているBuzzFeedは、ずっと結論ありきの解禁運動をやっている。偏向記事に定評がある媒体だ。今回も露骨に、両論併記のようでいて「さあ産婦人科学会理事長を叩きましょう」という構造になっている。

 私の立場・主張は男女論をやり出した2018年から一貫して変わっていない。


「海外旅行で買えばいい」は今コロナで難しくなってしまった面はあるが。悪用・濫用で言えばレイプサークルも悪用するだろう。薬を配るのは男ではなく女だ(「スーパーフリー」には「ギャルズ」と呼ばれる女性構成員がいた)。とはいえ、そもそもガチのレイプは暗数も多いとはいえそこまでの数じゃない。それだけのために全国の薬局で売れは無茶な話というか、商売にならないだろう。
 もちろん、性犯罪被害以外にも緊急避妊薬の需要はある。だからこそ問題なのだ。「避妊具なしでも、あるいは失敗しても気にせずセックスしたい!」「医者に行くのは面倒だし恥ずかしい!」という欲望を「(全ての)女性の自由や権利」だと主語を大きくして言い換えるのはフェアじゃないし、さらにそれで泣きを見る人もいるので私は慎重なのである(あくまで時期尚早ではと懸念しているだけで、未来永劫ダメとは言ってない)。
 悪用・濫用はもっと身近なところにある。避妊具なしを強要・懇願する男、断りきれない女は確実に増えるし、結果的に望まない妊娠が増えるリスク。前述のBuzzFeed記事によると、アフターピルは72時間以内なら妊娠を98%防げるらしい。ただ緊急避妊薬は性病には無力だし、避妊においてもあくまで併用するのが正しく、避妊具は依然必要である。が、世の中そんなリテラシーの高い人たちばかりじゃない。「100%ではない、でもかなりの高確率」となれば、「まぁいいか」となるのは必然。
 今はまだ小売価格も高いそうだが、薬なんて大量生産されれば安価になる。私が公立中学で見てきたような、中2中3からヤリまくってるヤンキーカップルなんて避妊具を使わなくなるよ。

 政策というのは、メリットとデメリットを議論し、最終的にメリットの方が大きいとなって初めて採用されるものだ。それが、解禁派の論点からは全く抜け落ちている。半径5mの、社会的階層や思想が近しい「自分たち」のことしか考えていない。こういう考え方は、アンチフェミの自称オタクたちにも言えることで、徹底して他者が視界に入っていない。想像力がない。
 頭のいい運動家や活動家の多くは、意図的にそれを無視している。運動を盛り上げるためには、とにかく支持者たちを熱狂させる必要がある。自らの弱点や欠点と向き合う、誠実な議論などはしても意味がない。我らこそが絶対的社会正義、闘争だと煽る。小山記事もそうで、完全にいわゆる確信犯。
 このようなケースはフェミニズムvsアンチフェミという文脈以外にもあふれているし、その二つで言えば両方に存在する。だからいつもの不毛な分断ですねとげんなりする。出家したくなる。記事もこういうまとめにしかならないから、気が進まなかったのだ。