うたうポリゴン

魔王K++(ケープラ)のポータル兼個人ブログ

キャリアについて考えてみる—ジョブ型雇用は万人に向くか

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 おそらく今年一番、深々と刺さったので、この記事をベースにキャリアについて考えてみます。この記事は典型的なメンバーシップ型雇用の悲劇というべきで、なんとかならないのだろうかと慨嘆する。
 ただでさえ、総務の仕事って大変である…間接部門とバカにされ社内はもちろん世間の評価が低すぎるし、合コンでもウケないというかモテの要素がない。だいたいテレビドラマの登場人物の職種ってほぼ営業か、企画・商品開発などのわかりやすい花形ばかり。
 私はこれでも総務出身である。新卒で入った社会人としての最初のキャリアは総務であった(後でまた触れる)。
 で、最近よく言われているのはこれ。nomad-journal.jp
 わたくしのような(自社製品開発でない)常駐型IT技術者は、(正社員・フリー関係なく)事実上既にジョブ型雇用なんです。基本的にプロジェクトが終われば解散、同じ現場にずっといても給料=単価が上がることはないので、長くても1、2年で(たとえ客先から評価が良くても)自分から抜けるという慣習。
 特に総合商社のような巨大企業が典型的だが、日本では文系は総合職という名のなんでも屋で採用され、「キャリアを天に任せる」雇用が一般的。実際には天ではなく入社前から育成方針が決まっていたり、直属の上司や人事部の評価だったりする。
 だからコミュ力重視のポテンシャル採用なんて言われ方もしていた。「目指すキャリア・やりたいことが特にないが、ポテンシャルはある一流大学の学生」にとってはこちらの方が実はよかったりする。ファッションに自信がないから、奥さんや恋人にすべて服を選んでもらう感じで。
 ただこれ、矛盾している。カツセさんの例をみてもわかるが、今時のシューカツはキャリア像を述べさせるのである。「嘘でもいいからちゃんと入社後のストーリーを作っておけ」はシューカツマニュアルの基本。そこで流暢に喋れないと内定がもらえないのに、実際希望が通る人は一握り。
 総務に希望する人なんてほぼいないので、不人気の部署は強制的に人があてがわれることになる。組織人にとって業務命令は絶対で、拒否できない。抜ける自由はあるし、命まで取られることはないが企業というのは本質的に専制国家である。配属でそれを思い知る人は多い。
 内定後や入社直後に不本意な配属先を告げると辞めてしまうから、わざと1ヶ月以上の新人研修を終えてから配属先を発表する。研修中の評価を考慮するというが、これもほぼ茶番。シューカツの茶番は、実はその後の配属というステージまで続く。辛島美登里さんも歌っていたように、「シューカツっていうルールはとても難しいゲームね」なのである(歌ってない)。

 文系のシューカツについて、人は3つのタイプに大別できる。

  1. 敗者・落ちこぼれ
  2. 勝者だったが、その後不幸になる人
  3. 勝者で、結果的にキャリアに目覚める人

 私は入試の得意・好き科目や大学で学びたいことは文系だったが、シューカツに関しては完全に理系人間であった。つまり1. に該当。氷河期世代はもちろん、ネットにはよくいるタイプでアスペ・発達障害の傾向がある。
 カツセさんは2. のタイプ。これも非常に多いと思うし、元々優秀な人間なので声がでかい。「日本の新卒採用は間違ってる、けしからん!」となる。そういえば「エイジハラスメント」の武井咲さんも総合商社で総務に配属されてたっけ…。
 あまり表に出てこないのが3. のタイプ。いや、実はこれ、合同系含むシューカツイベントで登壇する若手社員が皆言っていたことだった。
「特にやりたいことはなかったが、やっていくうちに今の仕事に目覚めた」と。日本の大企業が最もほしい人材は、これ。学生だった私も、そういうものかと思っていた。今思えば実に愚かだったが、当時は今よりもずっと保守的でホリエモンに影響されてるような人間が大嫌いだったし、ジョブ型雇用なんてワードもメジャーではなかったし致し方ない。
 ちなみにカツセさんと私の違いは、辞めるまでの期間。5年だったカツセさんにくらべ、私は1年弱である。これはおそらく就職した企業のランクが関係している。私も別に総務の仕事が嫌で辞めたわけではない(総合職としてはどうみても営業よりは総務向きなので、人事部の評価は正しい)。総務にいたからこそ、会社の体質が終わっていることがよくわかったのである(実際私が辞めて数年後、潰れはしなかったが合併された)。

 今だから言える。学生がシューカツで最初にすべきことはいわゆる自己分析などでなく、日本型大企業のメンバーシップ雇用に向いているのか、ジョブ型雇用に向いているのかの適性を見極めること。後者だとわかったら、自分に向く職種を見つける。あとはサヴァイヴするためのスキルをつければいい。
 最後に余談。


 基本的にこのツイの通りの感想だが、こういう人が表に出てきているのはいいことではあるなと。ただこの手の人たち、シューカツにも通りそうなハイスペ君ばかりなのであまり参考にはならない。もっとアスペ全開な人に出てきてほしい。
 あえて嫌いなフレーズで締めるが、ドキドキしよう。そしてサヴァイヴしようぜ。